SoundTreaterとは
SoundTreaterは2ch×3Bandsのグラフィカルパラメトリックイコライザーです。
触ってみればかんたんに理解できる操作ですが、4つのノブをプッシュしたり、回転させたり、プッシュしながら回転させたりという操作は従来の製品ではあまり見かけない方式となっております。
小さいボディに、たっぷりの機能を搭載したSoundTreaterを是非お試しください。
イコライザーとは
イコライザーとは英語でEqualizerと書きます。つまり、イコールするものです。イコールというのは音の場合、音を均一化するという意味で捉えてください。
元々の使い方としては、例えば同じ機材(ここでは、ミキサーやPAスピーカーなどを含みます。)を使用した場合においても、会場が違えば音が変わることを”均一化”するために使用する機材でもあります。つまり、会場ごとに周波数別の反響度合いや、共振などの現象が発生することがあり、それを抑止して、「まともな音」にするために使用するわけです。これを音場補正といいます。
現代では、もちろん音場補正としてのイコライザも使われていますが、ソレにとどまらず、積極的に音質を操る用途としても使われています。
グライコとパライコ
ここで2種類のイコライザーを紹介します。
グライコ(グラフィックイコライザー)
5-36程度の周波数を固定して、その部分のブースト/カットできるイコライザー。
各スライダーが調整できるのは音量のみで、周波数の変更やQ(急峻度。中心周波数からの幅の広がりの度合い)は通常調整できません。
パライコ(パラメトリックイコライザー)
1つの周波数の周波数、音量、Qを調整できるイコライザー。仕組み的に、1つの周波数に対して3つのノブまたはスライダーが必要なので、大規模かつ高価になりがちです。
つまり、単なる周波数カットならばグライコが向いていますし、細かい調整をしたい場合はパライコのほうが向いています。
パラメトリックイコライザーの弱点とは
周波数の調整ができ、Qも調整できるということで、「積極的な音づくり」をする場合は向いている場合が多いパライコですが、いくつか弱点があります。
○3バンド程度のパライコでも通常の方式では9個のノブが必要になり、サイズが大きくなる。
○アナログで回路を構成すると回路規模が大きいため、高価になりがちである。
○表示器がないため、現在どの周波数をどの程度ブーストしているかを把握することが難しい。
これらを解決するべく生まれたのが、SoundTreaterなのです。
3つのモード
SoundTreaterには、ステレオ入出力に対応しています。(NORMAL MODE)
しかしエレキギターなどのモノラルで使用することが多い機材ではステレオで使用する必要がないため、モノラルにも変更できます。この場合、内部で3バンドを2周回る6 band MODEとして使用できます。
また、2種類のモノラル機材をL、Rインプットにそれぞれ繋ぎ、ミックスしてステレオ出力するMIX MODEも搭載しています。
モード | 見分け方 | 説明 |
---|---|---|
NORMAL MODE | L | 入力Lが出力L,入力Rが出力R |
6 band MODE | L→ | 入力LがLch→Rchと通過して出力LRへ 入力Rは無効。 |
MIX MODE | L+ | 入力LがLchを通り出力LRへ。 入力RがRchを通り出力LRへ。 |
100のBankとFavoriteモード
Sound Treaterには100のバンクがあり、会場や曲、機材に応じて多くの設定を記憶させることができます。
しかし、実際のライブなどの現場では、よく使うバンクを一瞬で呼び出したい場面がありますね。
その場合に使用するのがFavoriteスイッチです。
FavoriteAとFavoriteBという上段の青いLEDに、100バンクのうちのお好きなバンクをアサインできます。
4つのノブで自由自在な操作
Sound Treaterは2ch×3Bandsですので、通常のパライコで考えると3✕6で18個のノブが必要なのですが、これをたった4つのノブで軽快に操作することが可能です。
他にも様々なことがこのたった4つのノブ+フットスイッチで可能になります。
○パイパスとEQ ONの切り替え
○2ch×3BandsのFreq,Q,Gainの調整
○ヘッドアンプ部のGain調整
○100Bankの切り替え
○Modeの切り替え
○Favoriteの瞬時な呼び出し
実際に触ってみてください。直感的に使えます。
カーブモードについて
Sound Treaterには、OFFも含めると4つのカーブモードがあります。
- Normal 指定した周波数を中心にブースト、カットする。
- Lo-Shelf 指定した周波数をカットオフ周波数としてそれより下の帯域をブースト、カットする。
- Hi-Shelf 指定した周波数をカットオフ周波数としてそれより上の帯域をブースト、カットする。
- Off そのバンドを使用しない。
使用できるカーブモードは以下のとおりです。
Low | Mid | High | |
---|---|---|---|
Normal | ○ | ○ | ○ |
Lo-Shelf | ○ | ✕ | ✕ |
Hi-Shelf | ✕ | ✕ | ○ |
Off | ○ | ○ | ○ |
LO-Shelf、Hi-Shelfに関しては、Qが高すぎるとカットオフ周波数より内側が逆に作用しますので、自然なかかり方としてはQ = 0.7程度にされることをおすすめします。
96kHzサンプリングの圧倒的な解像度
Sound Treaterはデジタルエフェクトの一種ですが、内部サンプリングに96kHzを採用しています。
サンプリングレートとは1秒間に実行するサンプリングの回数のことで、例えばCDでは44.1kHzでサンプリングされていることは有名かと思います。
開発段階において、当初は48kHzで開発を進めておりましたが、やはり96kHzとは音質が違って聞こえたのです。そこで96kHzを採用することにいたしました。
みっつさん
このEQを一言で表すなら「ぼくのかんがえたさいきょうのEQ」です。
扱いやすさと設定幅の広さの両方を兼ね備えたEQです。
私はベースで使用しており、基本的に最終段に置いてミキサー兼EQとして使っています。
フレットノイズやローの回る帯域などをピンポイントで抑えられるためかなり便利です。
上記のような最終調整で使うため音作りによっては全く使わない場合もありますが、保険として微調整をすぐに出来るので居るだけで安心感があります。
とてつもなく便利なEQなので1ボートに1個あって当然といっていいレベルで素晴らしいEQです。
2022年12月25日